第十八話 「許容範囲」 2004.06.03 浪速の龍

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 歳を重ねる事に物事に対する許容範囲が広がっていくと言いますか、こだわりが薄くなっていくと言
いますか、今まで許せなかった事とか、人の、良いところも、素直に受け入れられるようになってきた
と思います。人間はその時々で色々な決断をして行くものですが、20代で決断した事を30代になっ
て考えてみると何故あの時あの様な決断を下したのか「あまかった」と疑問に思うようです。その時は
最善手の決断を下したはずなのに、と思う訳です。これは40代になっても50代になってもその様に
思うものらしいです。人間は常に成長しているからこの様に感じるのでしょう。時間というものは不思
議なもので、嫌な事も良い事も全て流してくれる最高のものです。刺々しい人生は、自分を不幸にする
ばかりではなく、仲間までも失いかねないと思います。楽しみも、喜びも、悲しみも仲間が与えてくれ
るものだと思います。自己成長の鍵も仲間から与えられるものが大だと考えています。

 先日、20代の若者と会話をする機会がありましたが、一般的に若い男性と言うと人の話を理解でき
ないのか、面白くないのか聞いていないような気がします。話す方も聞いてくれなければ、付き合う気
も起こらない訳で、お互いの接点が遠のくか、疎遠になるかしかないと思います。その若者は、人の話
を良く聞き、何かを学ぼうとする気があるように見えました。話す方もこの次会うときは、こんな話を
したいな、とか思う訳です。この事は大切な要因だと思います。やはり人との付き合いは無口より、多
弁の方が良いと思います。性格が理解しやすい面があるからだと思います。自慢話は、自分も苦手です
が、経験等の話は面白く、為になる気がします。先日もその方に言った事は、"若い内は、時間はある
が、お金も人脈も無いのだから安くて一番効果のある「本」を読んだらと・・・。特に歴史物、自伝書
が良いのではないか"と話した訳です。また、20代は、体で仕事を覚える時期ですから死ぬ気で働い
たらよいと思います。経験もないのに理屈だけでは誰も相手にしてくれないと思います。
 
 人間常にチャレンジャーでいたい。この様な人物は往々にして問題(個性がある)がありますが、私
は憧れております。学術優秀な者が将来を嘱望され大企業に入社して来ますが、その様な優秀な者も1
0年も立つとただの人になってしまいます。一般的に大企業とか官僚社会は、減点主義であり、何もし
ない人の方が、評価が良い傾向にあります。物事を変えるとか、新しいものにチャレンジして行く事
は、次に繋がる経験で、10回に一回でも成功すれば、良い方でしょう。しかし、一回の失敗が減点に
なり、何もしない者が評価されてしまう。現代社会のひずみはこの様にして起きてきたのかも知れませ
ん。批判をする事は簡単で、誰にでも出来ますが、事を成す事は大変なエネルギーが必要になります。
だからこそ、その過程(経験)が重要になる訳です。

 年齢を重ねると物事に対する執着が無くなり、集中力も根気薄れてくるようです。守備に入ると言い
ますか、全体的に保守的になってくるようです。確率的に先が読めるようになってくると成功と失敗が
直感的に解読でき確率の良い方に進んでしまうのでしょう。そんな気がします。しかし、経験もない若
い者が、この様に判断してしまうと文化も科学の進歩も無いでしょう。電子技術の発信地は日本からで
す。日本人は、もっと自信を持つべきだと思います。明治維新の日本は、欧米諸国に追いつく為あらゆ
る施策をしました。当時の日本文化は先進国に40年程遅れていると指摘され、中国、朝鮮に笑われ成
長してきました。当時の先進国は、東アジア諸国に対して植民地政策を実施しており、隙あらば戦争を
仕掛け、自国の傘下にしてしまう時代でした。しかし、20〜21世紀にかけて中国、韓国、台湾等の
アジア諸国は、日本を真似ています。見向きもしなかった国がです。歴史は繰り返すと言いますが、日
本の文化的遺産は多く存在しています。一歩後退し、振り返るのも良いのではないかと考えています。

                                以上


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